なか2656のblog

とある会社の社員が、法律などをできるだけわかりやすく書いたブログです

2018年09月

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(「ゲリマンダー」Wikipediaより)

1.「合区解消」のための公選法改正が成立
参院の“合区問題”解消のための公選法改正法が本年7月18日に衆議院で成立しました。この改正は、比例代表の定員を96から100にして、比例代表には拘束名簿式の「特定枠」を新設するものです。特定枠は政党が決めた順位に従って当選者が決まる拘束名簿式を一部に導入できるようにしたものであり、自民党は特定枠の新設で、隣接県を1つの選挙区にした「合区」の対象県から出馬できない候補者を救済することを目的としています。 (「参院6増法が成立 来夏から適用 比例代表に「特定枠」」日経新聞2018年7月19日付)

今回の制度改正については、「あまりに党利党略」という批判が野党だけでなく与党の一部や有識者から出されています。このように選挙制度を与党が自党に有利に設定することは、歴史的・政治学的にも「ゲリマンダー」との呼称で批判されているところでありますが、憲法学的にはどのように考えるべきでしょうか。

2.選挙権の要件
国民の国政選挙の選挙権については、つぎの5つの要件を満たす必要があります。すなわち、①普通選挙(憲法15条3項)、②平等選挙(同14条1項、44条)、④秘密選挙(同15条4項)、の4つです。また、衆議院・参議院の国会議員はともに「全国民の代表」(同43条1項)です。

この4つの要件のなかで、今回の「合区解消」については、とくに平等選挙(同14条1項、44条)の要件とともに、参議院議員も「全国民の代表」(同43条)であることが問題となると思われます。

3.平等原則
わが国の憲法が自由を認め、経済的自由主義と民主主義によって立つ近代憲法の一つであることは、平等をその枠のなかでとらえることを要請するものです。そのため、自由主義諸国における近代立憲主義の平等が、特権の廃止、身分による差別の禁止、市民社会への自由で平等な立場からの参加を考えるものであったことから、その基本は、まずは形式的平等(=機会の平等)であり、実質的平等(=結果の平等)ではないとされています(上野妙実子・石村修など『基本法コンメンタール憲法 第5版』92頁)。選挙における平等は、この憲法14条が要請する形式的平等の典型例であるため、選挙における平等原則は憲法上強く要請されるものです。

この点、学説からは、参議院と衆議院との二院制を採用しながら、この両院に際立った違いが憲法上設定されていないのに、参議院に対しては投票価値(=一票の価値)の平等の要請が甘いということは、国会議員選挙が唯一の国政の方向性を定めるという観点から納得しがたいとの批判がなされています(上野・前掲97頁)。

4.参議院選挙に関する最高裁判決の変遷
この点、初期の最高裁は、参議院選挙について、その半数改選制(同46条)および地域代表的性質などに「特殊性」を見出し、「投票価値の平等の要求は、人口比例主義を基本とする選挙制度の場合と比較して一定の譲歩を免れない」と判断しました(最高裁昭和58年4月27日判決)。

しかしその後、最高裁は、2010年7月に行われた参議院議員選挙(最大格差5.0)について、“違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態が生じていた”とし、また、“都道府県を単位として各選挙区の定員を設定する現行の方式をしかるべき形で改めるべき”などと現行の選挙制度の立法的対応を求める判決を出すに至りました(最高裁平成24年10月17日判決、最高裁平成26年11月26日判決)。

このような最高裁判決を受けて、国会は平成27年に公職選挙法の一部改正を行い、4県の2つの選挙区の合区(島根県+鳥取県、徳島県+高知県)の改正を行いました(長谷部恭男『憲法 第7版』179頁)。

ところが本年7月に、国会は学説や最高裁判決の時代の流れに逆行する合区解消の公選法改正を行ってしまいました。

5.本年7月の合区解消のための公選法改正について考える
本年7月の合区解消のための公選法改正においては、比例代表選挙の部分において「特定枠」が設けられました。参院選挙前に各政党は特定枠に登録する候補を自由に設定できます。そして、比例選挙部分において、特定枠に登録された候補者は優先的に当選となるという仕組みです。政府・与党はこの特定枠に合区で立候補できなかった候補者を登録する方針とのことです。

しかしこのように制度改正を行ってしまうと、例えば自民党の比例区の候補者の中においても、特定枠と非特定枠の候補者との間で、当選しやすさの点で平等原則が破られています。特定枠の候補者を擁する地区の国民・住民とそうでない地区の国民・住民との間でも平等原則が破られます。また、現在のように自民党が圧倒的に優位であるわが国で、このように技巧的な選挙制度を設定することは、極めて「ゲリマンダー」なやり口であると考えられます。憲法14条、44条との関係で違憲のおそれのある法改正であると思われます。

また、憲法43条は国会議員は「全国民の代表」と定めるところ、参議院議員も地域の利益の代表者ではなく、いったん国会議員となったからには、国民全体・国全体のことを考える代表(社会学的代表)となると考えられます。平成24年・26年の最高裁判決もこの考え方に立ち、選挙制度の立法的措置を求めていると思われ、この点も今回の公選法改正は違憲のおそれがあります。政府・与党は都道府県による選挙区割りにこだわらない選挙制度を検討すべきです。

なお、自民党はこの合区解消を憲法的に合憲とするために、憲法47条を改正する意向のようです。しかし、上でみたように憲法14条の平等原則の形式的平等に抵触するような憲法改正は、仮に成立したとしても、「憲法改正の限界」の問題に衝突するものと思われます。

■参考文献
・上野妙実子・石村修など『基本法コンメンタール憲法 第5版』92頁、96頁、97頁、270頁
・長谷部恭男『憲法 第7版』179頁
・野中俊彦・中村睦男・高橋和之・高見勝利『憲法Ⅰ 第5版』303頁

憲法 (新法学ライブラリ)

憲法1 第5版

新基本法コンメンタール憲法―平成22年までの法改正に対応 (別冊法学セミナー no. 210)

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1.大阪地裁がフラダンスの振り付けの著作権性を認める判断
9月20日の新聞各紙に、本日(20日)の大阪地裁が、フラダンスの振り付けについて振り付け師の原告の著作権を認め、被告の九州ハワイアン協会に対して、当該振り付け師による振り付けの使用の差止などを認める判決を出したという興味深い記事が載っていました。従来、ダンス等の振り付けを著作権として認めることはエンタメ業界等の実務において抑制的であったようであり、その意味で興味深い判決です。

・「フラダンス振り付けは著作物」判決 動作の独自性認定|朝日新聞

2.舞踏の著作物
著作権法において、身振り・手振り等の体の動きを通し、振付によって思想・感情を表現した著作物は「舞踏の著作物」とされ、著作権の客体とされています(著作権法2条1項3号)。舞踏の著作物というとき、振付自体が著作物(=著作権の客体)であって、踊る行為(舞踏行為)自体は著作物ではなく、「実演」に該当し、著作隣接権の対象です(同2条1項3号、7条等、中山信弘『著作権法 第2版』88頁)。

3.社交ダンス
ここで、例えば社交ダンスのように、既存のステップの組み合わせが多いようなジャンルの舞踏については、著作権を認めると他の者の行動を縛ることになりかねないので、著作物と認めにくいとされています。

この点、社交ダンスに関する裁判例も、“社交ダンスは原則として既存のごく短くかつ一般的に用いられるステップを自由に組み合わせて踊られるものであり、それにアレンジを加えることも一般的に行われており、特定の者にその独占を認めることは、本来自由であるべき人の身体の動きを過度に制約することになり妥当ではない”として、社交ダンスにおける振付けの著作権性を否定しています(東京地裁平成25年7月19日判決・「Shall we ダンス?」事件、中山・前掲89頁)。

このような学説・裁判例を受けて、エンターテイメント業界の実務においては、「ダンス等は一般的に基本の振り付けを組み合わせたものが多いことから、著作物性が認められるのは例外的な場合である」と考えられているようです(エンターテイメント・ロイヤーズ・ネットワーク『エンターテイメント法務Q&A』130頁)。

4.ダンス等の振り付けが著作物と認められる場合
しかし、著作権法上、「思想又は感情を創作的に表現したもの」が著作物となるので(2条1項1号)、ダンス等の振り付けであっても、それが「思想又は感情を創作的に表現したもの」といえるものであるなら、舞踏の著作物として保護の対象となります。

つまり、「創作者の個性が現れていること」、または、「ありふれた表現ではないこと」がその要件になるものと思われます。

この点、ダンス・舞踏の分野においても、振付の創作性を認め著作物性を認定した裁判例があるようです(福岡高裁平成14年12月26日・日本舞踊家元事件など)。

本日、大阪地裁で出された判決も、記事によると「他にない独自の動作が含まれ、全体として個性が表現されている」と判断し、原告の振り付けの著作物性を認め、原告側の主張を認めたようです。

5.「〇〇を踊ってみた動画」について
なお、数年おきくらいのタイミングで、TV番組などのダンス等を一般人が真似て「踊ってみて」、その様子の動画(「〇〇を踊ってみた動画」)をSNSなどに投稿することの当否が話題となります。

うえでみたことをまとめてみると、学説・裁判例やエンタメ業界の実務に照らして考えると、ダンス等の振り付けを真似してその動画をアップロード等することは、その元となるダンス等の振り付けが、基本の振り付けやステップなどを組み合わせたものにすぎないといえるものは、そもそも舞踏の著作物に該当せず、著作権性がないので、違法とならないと思われます。

一方、当該元となるダンス等の振り付けが、基本のステップなどの組み合わせのレベルを超えて、ありふれた表現ではなく、創作者の個性が現れていると評価できるものについては、舞踏の著作物に該当するので、一般人が著作者の許諾等なしにそれを真似る等することは違法となるでしょう。ただし、エンタメ業界の実務は、ダンス等の振り付けに舞踏の著作物が成立することは例外的であると考えているようです。

■参考文献
・中山信弘『著作権法 第2版』88頁
・エンターテインメント・ロイヤーズ・ネットワーク『エンターテインメント法務Q&A』130頁

著作権法 第2版

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1.はじめに
朝日新聞の9月7日付記事によると、個人名義によるツイッターの投稿で、ある訴訟の当事者の感情を傷つけたとして、東京高裁民事部の岡口基一裁判官を懲戒処分とすべきかを判断する分限裁判の審問手続きが9月11日に最高裁の大法廷で行われるとのことです。

■追記(10月17日)
・ツイッター上の投稿に関して東京高裁民事部の岡口基一裁判官に戒告処分が出される

現職の裁判官でツイッターをしているのはおそらく岡口裁判官のみと思われ、裁判例や法令などに関するフランクな語り口のツイートが興味深いので私も岡口裁判官のツイッターアカウントをフォローしていました。

それを置いても、民間企業あるいは官庁などの職場は従業員等の個人のツイッターやFacebook等のSNSをどこまで管理・監督することが許容されるのかという問題は比較的最近の問題です。今回の最高裁のしかも大法廷の判断は、これらの問題の貴重なリーディングケースとなることは間違いありません。全国の官民の職場の人事・労務部門や法務部門等の担当者がこの大法廷の判断を注目していると思われます。

2.職場の情報管理の観点から
ツイッターなどのSNSでの炎上などの不祥事を受けて、近年、民間企業の情報管理・情報セキュリティ部門は従業員のSNSの利用について対応をはじめています。

つまり、民間各社は、SNSポリシー・SNSガイドラインなどを策定し、社員研修を行っています。このSNSポリシー等は、職場の業務用パソコン・業務用携帯などの私的利用・私的なSNS利用を禁止することはできますが、勤務時間外の従業員の私物PCなどによるプライベートなSNS利用を規制することは原則としてできません。そのようなSNS利用は従業員個人の表現の自由に属する事柄であり、またプライバシーに関する事柄であるからです(憲法21条1項、13条)。

しかし従業員の私的なSNSの投稿であっても、それが炎上するなどして、職場に具体的な損害が発生したり、あるいは営業秘密等が漏洩した場合には、当該従業員は使用者からSNSポリシーなどの違反あるいは就業規則等(とくに「体面汚損」条項)により懲戒処分を受ける可能性があります(藤田晶子・東京弁護士会インターネット法律研究部『Q&Aインターネットの法的論点と実務対応 第2版』198頁、217頁)。

このように、本事案はツイッターの投稿という現代的な問題でありつつ、従業員の私的行為への懲戒処分の是非という古くからある論点に帰着するように思われます。

3.従業員の私的行為を理由とする懲戒処分
使用者側にとっては懲戒処分は組織内の秩序を保つために必須の手段ですが、従業員にとっては懲戒処分は重大な不利益処分です。このバランスをとるため、判例は懲戒処分が就業規則に則っていることを要求し、就業規則の合理的解釈と、懲戒権濫用法理の適用を行うことにより事案の判断を行っています。

そしてとくに従業員の私生活上の行為については、一般的に判例は就業規則を限定解釈し、私生活上の行為に対する懲戒権発動を厳しくチェックしているとされています(菅野和夫『労働法 第11補訂版』670頁)。

ところで、従業員の私生活上の行為に対する懲戒処分が問題となった著名な判例は、ある会社の従業員が深夜に他人の居宅に忍び込もうとしたところ住居侵入罪で逮捕され、罰金2500円の罰金に処されたところ、会社が就業規則の体面汚損条項違反であるとして懲戒解雇をしたことが訴訟となったものです。

この事案に対して判例は、

「右賞罰規則の規定の趣旨とするところに照らして考えるに、問題となるXの右行為は、会社の組織、業務等に関係のないいわば私生活の範囲内で行われたものであること(略)を勘案すれば、Xの右行為がY会社の体面を著しく汚したとまで評価するのは、当たらないというのほかはない。」

と判示し、Y会社の懲戒処分を無効としています(横浜ゴム事件・最高裁昭和45年7月28日判決)。

4.岡口裁判官の事案を考える
ここで本事案を考えるに、まず最高裁判所が策定した裁判官の就業規則は少なくともネット上では公開されていないようでした。しかし裁判所法49条はつぎのように、民間企業の就業規則の体面汚損条項のような規定を設けています。

裁判所法
第49条(懲戒) 裁判官は、職務上の義務に違反し、若しくは職務を怠り、又は品位を辱める行状があつたときは、別に法律で定めるところにより裁判によつて懲戒される。

つまり本事案に対する懲戒処分の根拠規定は一応存在することになります。

ところで、岡口裁判官の本事案は、今回問題となっているのは、

「岡口氏は拾われた犬の所有権が、元の飼い主と拾った人のどちらにあるかが争われた裁判を取り上げたネット上の記事のリンクとあわせて「公園に放置された犬を保護したら、元の飼い主が名乗り出て『返して下さい』 え?あなた?この犬を捨てたんでしょ?3か月も放置しながら…… 裁判の結果は……」と投稿した。」(朝日新聞9月7日付記事より)

というツイートのようです。

このツイートに対して、元原告側の方が裁判所に抗議を行ったそうですが、当該原告側の方はちょっとナイーブすぎるのではないでしょうか。あるいは「クレーマー」とすら評価しうるのではないでしょうか。(後述する司法権の独立の観点からは、東京高裁は岡口裁判官を懲戒する方向を考えるのではなく、むしろ司法権の独立のためにクレーマーと断固戦うべきだったのではないでしょうか。)

岡口裁判官はこの訴訟の担当者などではなく、業務に関連したツイートではないのですから、これは私人としての私生活上の行為です。また、このツイートの内容も、原告の人物を名誉棄損するレベルとは思えません。単に社会問題・時事問題への意見・評論をツイートしているようにしか思えません。

そして、名誉棄損が違法性を阻却されるためには表現行為の公共性・真実性の証明が必要なのに対して、意見評論が違法性を阻却されるためには、表現者において右事実を事実と認めるに相当の理由があれば足りるとされています(最高裁平成9年9月9日判決、プロバイダ責任制限法実務研究会『最新プロバイダ責任制限法判例集』80頁)。

岡口裁判官は新聞記事のリンクを貼ったうえでツイートを行っているのですから、岡口裁判官には事実を事実と認めるに相当の理由があるといえるので、当該ツイートには違法性がないことになります。

そして上でみた横浜ゴム事件のように、判例は従業員の私生活上の行為への懲戒処分について、就業規則などを限定解釈し、私生活上の行為に対する懲戒権発動を厳しくチェックしているのです。

住居侵入罪で罰金刑を科された従業員ですら懲戒処分を無効とする判例があるのに、ツイッターで違法でも何でもない意見評論を投稿しただけで裁判官が懲戒処分に科されるとは、著しく法的バランスを欠くのではないでしょうか。

今回の岡口裁判官の事例だけ、これらの判例の対象外として懲戒処分を科すのは法的に、あるいは判例との関係で無理があります。

5.司法権の独立
岡口裁判官は取材に対して「これはパワハラである」と述べているそうです。心痛は察して余りありますが、パワハラの問題と同時に、この岡口裁判官への処分騒動が司法権の独立(憲法76条3項)を侵害しているのではないかと庶民としては気になります。

裁判が公正に行われ、少数者の人権が保障されるために司法権の独立は必要不可欠です。

憲法
第76条
3項 すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。

そして司法権の独立の核心部分は、個々の裁判官の職権の独立であるとされています。つまり、他者や他の組織から指示・命令を受けたり、事実上の影響を受けては、裁判官は公平な裁判を行えないからです。

ここでいう他の機関や他者とは、国会や行政府に限られません。教科書に載っている著名な事例は大津事件です。ロシアの皇太子を受傷させた警官についてときの政府は司法府に死刑判決をだすよう圧力をかけ、ときの大審院長児島椎謙は政府の圧力と戦い、この点は評価されています。しかし同時に児島大審院長が担当の裁判官に圧力をかけて無期刑の判決を書かせたことは、司法権の独立に反すると批判されています。

今回の岡口裁判官の事案は、司法権の独立の観点から、東京高裁が自分で自分の首をしめているように思われます。最高裁大法廷の理性のある判断が望まれます。

■参考文献
・藤田晶子・東京弁護士会インターネット法律研究部『Q&Aインターネットの法的論点と実務対応 第2版』198頁、217頁
・菅野和夫『労働法 第11補訂版』670頁
・プロバイダ責任制限法実務研究会『最新プロバイダ責任制限法判例集』80頁
・芦部信喜『憲法 第6版』358頁

Q&A インターネットの法的論点と実務対応 第2版

最新 プロバイダ責任制限法判例集

労働法 第11版補正版 (法律学講座双書)

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1.台風
このたび、台風21号により被害を受けられた皆様に、心からお見舞い申し上げます。 非常に強い台風が日本を縦断して、私の地元も風雨が激しい夜となっています。

2.住宅火災保険と住宅総合保険
多くの家庭の方々は損害保険の火災保険契約に加入していると思われますが、火災保険は台風もかなりの部分の損害をカバーしてくれています。

住居のための一軒家やアパート・マンションが対象となる火災保険は、主に①住宅火災保険と②住宅総合保険に分類されます。

つまり、住宅火災保険とは、火災、落雷、破裂・爆発、風災、雹(ひょう)災、雪災の事故による損害を対象とする保険であり、一方、住宅総合保険とは、前記のほか、物体の落下・飛来・衝突・倒壊、水漏れ、騒擾などの集団行為・労働争議、盗難、持ち出し家財の損害、水災などを対象とする保険です。

例えば台風、暴風雨および旋風などは「風災」に該当します。

3.住宅火災保険と住宅総合保険の対象、損害保険金の種類
(1)住宅火災保険と住宅総合保険の対象
火災保険の対象は①建物、②家財、となっています。建物には、(ア)畳、建具その他これらに類する物、(イ)電気、通信、ガス、冷暖房等の設備のうち建物に付加したもの、(ウ)浴槽、流し、ガス台、調理台、棚その他これらに類するもののうち建物に付加したもの、(エ)門、塀もしくは垣または物置、車庫その他の付属建物、が該当します。

例えば住宅建物の窓ガラスなどは(ア)の建具に該当しますので、台風などを原因とする窓ガラスの破損などは支払いに該当することになります。

(2)損害保険金の種類
火災・落雷・破裂・爆発・風災・雹災・雪災を原因とする事故により発生した対象への損害は、住宅火災保険・住宅総合保険の両方で損害保険金の支払いの対象となります。

一方、物体の落下、飛来、衝突等、水漏れ、騒擾や集団行動・争議行為、盗難、現金・預貯金の盗難を原因とする事故により発生した対象への損害は、住宅総合保険でのみ支払いの対象となります。

また、台風、暴風雨または豪雨などによる洪水、融雪洪水、高潮、土砂崩れなどの水害については、住宅総合保険の場合のみ水災保険金が支払われます。

加えて、住宅総合保険の場合のみ、費用保険として、①臨時費用(仮住まいの費用等)、②残存物片付け費用、などが支払い対象となります。

なお、地震、噴火またはこれらによる津波による損害は火災保険の対象外となりますが、これらは地震保険の対象となります。

住宅向けの火災保険の概要は上のとおりですが、ご契約中の損害保険契約が保険金の支払い対象となるか否かにつきましては、契約先の損害保険会社または保険代理店にお問い合わせください。

損害保険の法務と実務(第2版)

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