1.台風
このたび、台風21号により被害を受けられた皆様に、心からお見舞い申し上げます。 非常に強い台風が日本を縦断して、私の地元も風雨が激しい夜となっています。

2.住宅火災保険と住宅総合保険
多くの家庭の方々は損害保険の火災保険契約に加入していると思われますが、火災保険は台風もかなりの部分の損害をカバーしてくれています。

住居のための一軒家やアパート・マンションが対象となる火災保険は、主に①住宅火災保険と②住宅総合保険に分類されます。

つまり、住宅火災保険とは、火災、落雷、破裂・爆発、風災、雹(ひょう)災、雪災の事故による損害を対象とする保険であり、一方、住宅総合保険とは、前記のほか、物体の落下・飛来・衝突・倒壊、水漏れ、騒擾などの集団行為・労働争議、盗難、持ち出し家財の損害、水災などを対象とする保険です。

例えば台風、暴風雨および旋風などは「風災」に該当します。

3.住宅火災保険と住宅総合保険の対象、損害保険金の種類
(1)住宅火災保険と住宅総合保険の対象
火災保険の対象は①建物、②家財、となっています。建物には、(ア)畳、建具その他これらに類する物、(イ)電気、通信、ガス、冷暖房等の設備のうち建物に付加したもの、(ウ)浴槽、流し、ガス台、調理台、棚その他これらに類するもののうち建物に付加したもの、(エ)門、塀もしくは垣または物置、車庫その他の付属建物、が該当します。

例えば住宅建物の窓ガラスなどは(ア)の建具に該当しますので、台風などを原因とする窓ガラスの破損などは支払いに該当することになります。

(2)損害保険金の種類
火災・落雷・破裂・爆発・風災・雹災・雪災を原因とする事故により発生した対象への損害は、住宅火災保険・住宅総合保険の両方で損害保険金の支払いの対象となります。

一方、物体の落下、飛来、衝突等、水漏れ、騒擾や集団行動・争議行為、盗難、現金・預貯金の盗難を原因とする事故により発生した対象への損害は、住宅総合保険でのみ支払いの対象となります。

また、台風、暴風雨または豪雨などによる洪水、融雪洪水、高潮、土砂崩れなどの水害については、住宅総合保険の場合のみ水災保険金が支払われます。

加えて、住宅総合保険の場合のみ、費用保険として、①臨時費用(仮住まいの費用等)、②残存物片付け費用、などが支払い対象となります。

なお、地震、噴火またはこれらによる津波による損害は火災保険の対象外となりますが、これらは地震保険の対象となります。

住宅向けの火災保険の概要は上のとおりですが、ご契約中の損害保険契約が保険金の支払い対象となるか否かにつきましては、契約先の損害保険会社または保険代理店にお問い合わせください。

損害保険の法務と実務(第2版)