なか2656のblog

とある会社の社員が、法律などをできるだけわかりやすく書いたブログです

2018年03月

今年も調布市佐須町付近の野川の桜のライトアップが、株式会社アーク・システム様により3月30日に実施されたので、見にいってきました。

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月並みな表現ですが、非常に幻想的です。 IMG_0538


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今年は昨年以前に比べると、非常に混んでいると感じました。

■株式会社アーク・システム様の告知サイト
・【開催日決定】野川の桜ライトアップ 2018|アーク・システム

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今年も、調布市に本社のある撮影用照明機材の株式会社アーク・システム様が、調布市佐須町付近の野川の夜桜のライトアップ3月30日(金)午後6時から実施してくださるそうです。同社のウェブサイトに告知が掲載されています。

・【開催日決定】野川の桜ライトアップ 2018|アーク・システム

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(2016年のライトアップの様子)

これは地元民として、とても楽しみです。

■関連するブログ記事
・調布の野川の夜桜のライトアップに行ってきた(2016)

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本日は桜も咲いてきたし、日曜日ということで、家族と野川公園に花見に行ってきました。野川公園は調布市・三鷹市・小金井市の境にあるとても大きな公園です。桜もほぼ満開でした。
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本日は天気もよかったので、とてもにぎわっていました。
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この野川公園は、かつて国際基督教大学(ICU)のゴルフ場であったところ、昭和40年代に当時の東京都が譲渡を受け、都立公園にしたそうです。
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野川公園を東西に通っている東八通り(都道14号)の上の陸橋を越えて、公園の北部にいくと、昔懐かしい感じの野川にいけます。
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このあたりは、国分寺崖線のいわゆる「ハケ」と呼ばれる場所で、水が湧いてくるところの一つです。
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野川では子ども達が魚をとっていました。
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帰りに通りがかると、調布飛行場沿いの大沢グラウンド通りの桜もほぼ満開でした。 IMG_0269(2)
本日は、野川公園近辺の桜を楽しみました。

・野川公園|むさしのの都立公園(公式サイト)

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1.はじめに
3月19日のNHKニュースなどによると、日本年金機構からマイナンバーや配偶者の年間所得額などの個人情報のデータ入力の業務を委託された東京・池袋の情報処理会社・「株式会社SAY企画」が、年金機構との委託契約に違反しておよそ500万人分の個人情報を中国の業者に渡し、入力業務を再委託させていたことが厚生労働省などへの取材でわかったとのことです。

しかも、21日の新聞報道によると、日本年金機構はSAY企画が委託契約書に違反して中国の業者にデータ入力を再委託させていることを内部告発により知った後も、SAY企画との委託契約を継続していたとのことで、問題はより悪質です。

・500万人分の個人情報が中国業者に 年金情報入力を再委託|NHKニュース
・年金機構、甘い管理 委託先の把握、不十分|朝日新聞

さらに、20日付の日本年金機構の本件に関するプレスリリースを読むと、SAY企画を3年間の競争入札への参加資格を停止する処分があるだけで、日本年金機構側の理事長や担当部門の長などの懲戒処分が一切記載されていないことに驚きます。

・年金からの所得税の源泉徴収について|日本年金機構

2.独立行政法人等個人情報保護法
この点、日本年金機構の情報管理について法令上はどうなっているかというと、日本年金機構は行政法上、特殊法人であるため、個人情報保護に関しては、独立行政法人等個人情報保護法(以下「法」とする)が適用されます(法2条1項、同・別表)。

そして、法7条は、独立行政法人等が講じなければならない安全確保措置について、つぎのとおり規定しています。

独立行政法人等個人情報保護法

(安全確保の措置)
第七条 独立行政法人等は、保有個人情報の漏えい、滅失又は毀損の防止その他の保有個人情報の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない。
 (略)


また、総務省は、この独立行政法人等個人情報保護法に関する指針を出しています(独立行政法人等の保有する個人情報の適切な管理のための措置に関する指針について(通知・総管情第85号平成16年9月14日))。

そして、この総務省の指針は、独立行政法人等の安全確保措置について、つぎのように規定しています。

独立行政法人等の保有する個人情報の適切な管理のための措置に関する指針

第8 保有個人情報の提供及び業務の委託等
(業務の委託等)
 保有個人情報の取扱いに係る業務を外部に委託する場合には、個人情報の適切な管理を行う能力を有しない者を選定することがないよう、必要な措置を講ずる。また、契約書に、次に掲げる事項を明記するとともに、委託先における責任者及び業務従事者の管理及び実施体制、個人情報の管理の状況についての検査に関する事項等の必要な事項について書面で確認する。
 (1) 個人情報に関する秘密保持、目的外利用の禁止等の義務
 (2) 再委託の制限又は事前承認等再委託に係る条件に関する事項
 (3) 個人情報の複製等の制限に関する事項
 (4) 個人情報の漏えい等の事案の発生時における対応に関する事項
 (5) 委託終了時における個人情報の消去及び媒体の返却に関する事項
 (6) 違反した場合における契約解除、損害賠償責任その他必要な事項
 保有個人情報の取扱いに係る業務を外部に委託する場合には、委託する保有個人情報の秘匿性等その内容に応じて、委託先における個人情報の管理の状況について、年1回以上の定期的検査等により確認する。
(後略)


このように、独立行政法人等の一つである日本年金機構は、独立行政法人等個人情報保護法7条1項により、保有する個人情報に対し、漏洩・滅失・棄損などが発生しないための安全確保措置を講じる法的義務を負っています。

そして、この点を総務省の指針はさらに詳細に規定していますが、保有する個人情報の業務を外部に委託する場合は、①委託先として個人情報の適切な管理を行う能力を有しない者を選定することがないよう必要な措置を講じなければならず(委託先選定基準の策定、委託先候補の事業所への訪問などを含む調査等、委託先選定基準に基づく委託先の選考)、②秘密保持や再委託の可否等を定めた委託契約書の作成・取り交わし、③年1回以上の委託先の定期立入検査、などが必要と規定されています(指針8条4項、5項)。

3.日本年金機構の今回の不祥事は個人情報管理の観点からどのように問題なのか
このように法令をみたうえで、日本年金機構の今回の不祥事をみると、まず、年金機構はあらかじめ委託先選定基準を作成し、委託先候補の事業所への訪問などを含む調査を行い、そのうえで委託先選定基準に従ってSAY企画を選抜したのだろうかという問題があります。

この点、20日に行われた記者会見では、日本年金機構の理事長ら幹部は、「競争入札なので、価格の安さしかみていなかった」という趣旨の発言をしているようです。日本年金機構法などが競争入札制度を要請しているとしても、独立行政法人等個人情報保護法や指針がある以上は、日本年金機構は委託先の選定にあたり、価格の安さだけでなく、委託先の情報管理の品質をも十分に検討すべきでした。

また、指針は委託先事業者に対して年1回以上の定期立入検査を求めています。報道や日本年金機構のプレスリリースなどにおいては、年金機構はこれまで、約30の案件でSAY企画に委託してきたとあります。しかし約30回も委託していたのならば、何度か年金機構の情報管理の担当部門の職員がSAY企画の事業所を立入検査し、SAY企画の情報管理の品質や、事業規模を把握できていたはずです。つまり、日本年金機構は膨大な国民の個人情報を保有し、そのデータ入力などについて外部委託を行っていたにもかかわらず、法令の定める委託先の定期立入検査をまったく実施していないのではないかとの疑問を感じます。

日本年金機構は独立行政法人等個人情報保護法や総務省指針の定める安全確保措置を怠り、違法な情報管理を行っていたといえます。

さらに、日本年金機構のプレスリリースや、20日に行われた理事長らの記者会見の様子を読むと、理事長はさかんに「厚労省から指示されたとおり、日本年金機構の使命を実施してゆく」と繰り返していますが、「個人情報の保護に努める」とは一言も述べていません。また冒頭でみたように、年金機構はSAY企画を処分するだけで、年金機構内部の人間は一人も懲戒処分しないようです。

この点は、そもそも日本年金機構は社内基準・組織内基準として、個人情報保護方針・個人情報保護規程・各部門における個人情報保護基準・規則や就業規則などの整備、個人情報保護に関する社内教育等がまったく実施されていないのではないかとの疑問を感じます。

日本年金機構は、旧社会保険庁時代も含め、何度も個人情報保護の問題で不祥事を起こしてきました。年金機構の役職員は、法令を守り、コンプライアンス意識を持って、組織内の個人情報保護のためにさまざまな取り組みを行うべきと思われます。

■参考文献
・宇賀克也『個人情報保護法の逐条解説 第5版』665頁
・岡村久道『個人情報保護法 第3版』499頁





























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金融庁プレート

1.はじめに
平成29年9月に東京高裁で、ノンバンクからの債権買取に関する日本振興銀行の取締役会決議に賛成した取締役の善管注意義務違反を認める判決がだされました(東京高裁平成29年9月27日判決・上告中)。本判決は、近年の判例にしたがい、一般の株式会社の取締役よりも銀行の取締役の善管注意義務のレベルは高いとした点が注目されます。

2.事案の概要
(1)概要
本件は、破綻した日本振興銀行の取締役に対する損害賠償請求等に関する事案である。日本振興銀行(以下「A銀行」という)は、中小企業向け融資と預金の受け入れを主な事業とする銀行であったが、平成22年9月13日付で民事再生法に基づく再生手続開始決定を受けて破綻した。

株式会社債権回収機構(原告、以下「X」という)は、A銀行から取締役に対する善管注意義務を理由とする損害賠償請求権を譲り受けた。YはA銀行の取締役であった。XはYに対して、A銀行の取締役会で、のちに破綻したノンバンクのSFCG(旧・商工ファンド)から中小企業向けローン債権の買い取りを承認したことが取締役の善管注意義務違反に該当するとして、会社法423条1項の損害賠償請求権に基づき、注意義務違反によりA銀行に生じた損害の一部である50億円の支払いを求めた。(なお、本事件ではYがその妻らに金銭を贈与したことが通謀虚偽表示にあたるか否かも争点となっているが省略する。)

(2)事実関係
A銀行は、Yを含む取締役全員の賛成により、平成20年10月28日および同年11月17日の取締役会において、SFCGから合計上限460億円のローン債権を買取ることを承諾する旨の取締役会決議を行った。そして同年10月29日および11月21日にSFCGからA銀行への合計約460億円分のローン債権の債権譲渡が行われた。

なお、本件各ローン債権買取契約は、当該各債権の弁済可能性にかかわりなくすべて額面金額で買い取るものであり、SFCGは、本件ローン債務をすべて連帯保証し、また、SFCGは時価約23億円の不動産に抵当権を設定し担保とした。

その後、SFCGは、過払金請求の増加や金融危機の影響などにより、遅くとも平成20年10月末には支払不能の状態に陥り、平成21年2月24日に再生手続開始決定を受け、さらに同年4月21日に破産開始決定を受けて倒産した。

そして、A銀行は、平成22年5月に、同年3月期の決算において赤字に転落したことを発表し、金融庁から業務停止命令を受けた。その後、A銀行は同年9月10日、再生手続開始の申立てを行い、それを受けて金融庁は預金保険機構を金融管財人に選任し、同月13日にA銀行は再生手続開始決定を受けた。

A銀行は、平成23年4月に、Xに対して取締役らに対する損害賠償請求権を譲渡した。XがYに対して、取締役としての善管注意義務違反によりA銀行に生じた損害の一部である50億円の支払いを求めたのが本件訴訟である。

第1審(東京地裁平成28年9月29日判決)は、Xの請求を一部認容したため、Yが控訴。

3.判旨(東京高裁平成29年9月27日判決・上告中)
(1)経営判断の原則について
本高裁判決は、銀行の取締役の経営判断の原則に関するYの主張について、つぎのように判示しました。

「銀行の取締役に対しても、一般の株式会社の取締役と同様、いわゆる経営判断の原則が通用される余地はあるが、銀行業が広く預金者から資金を集め、これを原資として企業等に融資することを本質とする免許事業であること、銀行の取締役は金融取引の専門家であり、その知識経験を活用して融資業務を行うことが期待されていること、万一、銀行経営が破綻し、あるいは危機に瀕した場合には、預金者及び融資先を始めとして社会一般に広範かつ深刻な混乱を生じさせることなどを考慮すると、融資業務に際して要求される銀行の取締役の注意義務の程度は、一般の株式会社の取締役の場合に比べ、相当程度高い水準のものであると解するのが相当であり、銀行の取締役のいわゆる経営判断の原則が適用されると解されるとしても、その余地はその分だけ限定的なものにとどまるものというべきである」。

「本件各債権買取りは、直接的には融資業務に当たらないとしても、広く預金者から集めた資金を投じた上で、本件買取債権の債務者又はSFCGからその回収を図る必要があるものであるから、Yが本件各債権買取りの可否・当否を決定するに当たっては、一般の株式会社の取締役の場合に比べ相当程度高い水準の注意義務が課せられていたと解するのが相当である」。(そのため)「本件各債権買取りの背景に顧客基盤の拡充というA銀行の経営戦略があったとしても、そのことから直ちに、取締役に広汎な裁量が認められたり、求められる注意義務の程度が軽減されたりするものとは解されない」


(2)善管注意義務について
本高裁判決は、取締役の善管注意義務について、つぎのように判示しています。

「Yに善管注意義務違反が認められるか否かは、(ⅰ)本件買取債権自体(本件買取債権の債務者の経営状況や資産状態等)を調査するとともに、その信用力に依拠するSFCGの経営状況等をも調査し、その安全性を確認して本件各債権買取りを決定したか否か、(ⅱ)確実な担保を徴求するなど、相当の措置が講じられたか否かを踏まえ、銀行の取締役として求められる水準に照らし、Yが本件取締役会決議において本件各債権買取りを承認したことが合理性を有するものであったか否かにより判断すべきである」。

(その上で、)「本件買取債権はその回収可能性に相当程度疑念を生じさせる状況にあったにもかかわらす、A銀行のしたデューデリジェンスは名ばかりで、本件買取債権の調査は甚だ不十分であり、同債権を買い取ると決断するに当たっての安全性の確認も十分とはいえないこと、その信用力に依拠することを企図したSFCGの経営状態は極めて危険な状態にあり、Yはそのことを十分認識していたこと、それにもかかわらず、A銀行がSFCGから徴求した担保は甚だ不十分であるというほかなく、A銀行が相当な措置を講じていたという ことは到底できないこと、Yはこうした状況の下にありながら、 短期的な収益の確保ないし危殆状況下における投下資金の回収等のために本件各債権買取りの承認決議に賛同したというべきであることが認められるから、YにはA銀行の取締役としての善管注意義務違反があったというべきである」


4.検討
(1)取締役の善管注意義務
取締役はその職務を善良な管理者の注意をもって行わなければなりません(善管注意義務・会社法330条、民法644条)。また、取締役は法令・定款ならびに株主総会決議を順守し、会社のために忠実にその職務を行わなければなりません(忠実義務・会社法355条)。判例上、この忠実義務は、善管注意義務を敷衍して一層明確化したものであるとされています(最高裁昭和45年6月24日判決)。(伊藤靖史・大杉謙一・田中亘・松井秀征『LEGAL QUEST会社法 第3版』217頁、神田秀樹『会社法 第18版』197頁)

判例において、銀行の取締役の融資判断に関する善管注意義務違反を認めたものとして、①最高裁平成21年11月27日判決(四国銀行事件)、②最高裁平成20年1月28日判決(北海道拓殖銀行事件)、③最高裁平成21年11月9日判決(拓銀刑事事件)などが存在しますが、最高裁は銀行の取締役の融資実行判断が著しく合理性を欠くものであったか否かを検討していますが、その合理性をゆるやかには判断していません。

(2)経営判断の原則
裁判で取締役の善管注意義務が争点となるとき、経営判断の原則が問題となることがあります。つまり、企業の経営判断については、取締役等に裁量が認められ、判断の過程・内容に著しく不合理な点がない限り善管注意義務違反とならないとする原則です。どの程度の情報収集や意思決定の慎重さが求められるのか、また、取締役等に認められる裁量の幅は、取締役等が判断を求められる事柄の性質により異なるとされています(伊藤・大杉・田中・松井・前掲232頁、神田・前掲197頁)。

この点、本高裁判決は、銀行業務の公共性や、万一銀行が破綻した際に社会に与える影響の大きさなどから、「融資業務に際して要求される銀行の取締役の注意義務の程度は、一般の株式会社の取締役の場合に比べ、相当程度高い水準のものであると解するのが相当であり、銀行の取締役のいわゆる経営判断の原則が適用されると解されるとしても、その余地はその分だけ限定的なものにとどまるものというべきである」。と判示している点が注目されます。

■参考文献
・『金融・商事判例』1528号8頁
・須藤克己「銀行の取締役に課せられた善管注意義務と経営判断原則-東京高判平29.9.27を題材として-」『金融法務事情』2083号16頁
・伊藤靖史・大杉謙一・田中亘・松井秀征『LEGAL QUEST会社法 第3版』217頁、232頁
・神田秀樹『会社法 第18版』197頁

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