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東京都調布市が「調布市個人情報保護法施行条例(案)の概要」のパブコメ手続きを行っていたので、私も次のような意見を作成して送ってみました(2022年10月11日まで)。

・「(仮称)調布市個人情報保護法施行条例(案)の概要」へのご意見をお寄せください|調布市

1.「個人情報」の定義についてー改正調布市個人情報保護条例(以下「改正条例」とする)3条2号
個人情報の定義が「生存する」をつけない「個人に関する情報(以下略)」となっているが、死者の個人情報も含むのか、生存する個人に関する情報に限るのか、規定を明確化すべきではないか。

2.条例要配慮個人情報についてー改正条例3条
改正条例3条に要配慮個人情報の定義が存在せず、個人情報保護法にすでに要配慮個人情報の定義規定があるので条例要配慮個人情報の規定は改正条例に設けない方針とのことであるが、改正条例5条2項各号には要配慮個人情報に類する事項の規定があるところ、同2項2号の「社会的差別の原因となる個人情報」には、調布市の実務において個人情報保護法2条3項が列挙する事項以外の事項が存在しないか調査は行われているのであろうか(例えば信仰、病歴、障害歴、ワクチン接種等の履歴、本籍地、資産情報、金融情報など)。もし存在するのであれば、条例要配慮個人情報として明文で定義規定を置くべきではないか。

3.安全管理措置についてー改正条例8条の条文名、2項、4項、同10条1項
改正条例8条、10条の「適正管理」または「適正な管理」は、個人情報保護法66条にそろえて「安全管理」または「安全な管理」に用語をそろえては如何でしょうか。

4.オンライン結合の制限規定についてー改正条例13条
改正条例13条に現行条例13条と同様のオンライン結合の制限規定があることに賛成いたします。

国や企業等による個人情報の利活用だけでなく、主権者たる市民・国民の「個人の権利利益の保護」(個人情報保護法1条)と、「個人情報は、個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべき」(法3条)との個人情報保護法制の趣旨・目的に照らすと、市民・国民個人の個人情報とプライバシー権の保護を重視する調布市の姿勢に賛成します。

5.開示請求手続きにおける実施機関以外のものとの協議についてー改正条例16条5項
2021年11月に発覚した調布市つつじが丘のNEXCO東日本による陥没事故の被害者住民の情報公開請求に係る個人情報漏洩事件を踏まえ、改正条例16条5項に「ただし、当該開示決定等に係る保有個人情報の安全管理を徹底し、当該実施機関以外のものに当該保有個人情報の漏洩等が発生しないようにして、開示請求者の権利利益を保護しなければならない。」等のただし書きを設けるべきではないか。

6.利用停止・外部提供の停止についてー改正条例26条1号、2号
改正条例26条1号の利用停止又は消去の要件の部分に、「個人情報保護法63条の定める不適正利用が行われたとき」を追加すべきではないか。また改正条例26条2号の外部提供の停止の要件の部分に、「個人情報保護法68条の定める個人情報の漏洩等が発生した場合その他本人の権利または正当な利益が害されるおそれがあるとき」を追記すべきではないか。

7.行政機関等匿名加工情報についてー「調布市個人情報保護法施行条例(案)の概要について(説明資料)」2頁の図表3の「ウ行政機関等匿名加工情報(改正法第109条等)の作成・提供」
改正条例に行政機関等匿名加工情報の規定を設けないとの調布市の判断に賛成いたします。

国や企業等による個人情報の利活用だけでなく、主権者たる市民・国民の「個人の権利利益の保護」(個人情報保護法1条)と、「個人情報は、個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべき」(法3条)との個人情報保護法制の趣旨・目的に照らすと、市民・国民個人の個人情報とプライバシー権の保護を重視する調布市の姿勢に賛成します。

(注:今回の令和3年改正対応の個人情報保護法改正では、市区町村に対しては行政機関等匿名加工情報の規定の設置は義務とはなっていない。)

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