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東京都がパブコメ「令和5年度以降の東京都における個人情報保護制度に関する条例整備の考え方について(意見募集)」を2022年10月31日まで実施していたので、次のようなパブコメ意見を書いて提出してみました。

・令和5年度以降の東京都における個人情報保護制度に関する条例整備の考え方について(意見募集)|東京都

1.該当箇所(御意見の内容に該当する箇所)と御意見
(1)該当箇所
「8 個人情報の適正な取扱いを確保するために専門的な知見に基づく意見を聴くことが特に必要であると認めるときは、東京都情報公開・個人情報保護審議会(情報公開条例第 39条)に諮問します。」について

(2)意見
「個人情報の適正な取扱いを確保するために専門的な知見に基づく意見を聴くことが特に必要であると認めるとき」に限定されず、従来どおり東京都または東京都議会等は東京都情報公開・個人情報保護審議会に幅広く諮問を行うべきである。

2.御意見の理由
個人情報保護法129条は「個人情報の適正な取扱いを確保するために専門的な知見に基づく意見を聴くことが特に必要であると認めるとき」は、審議会などの機関に諮問することができると規定しているため、地方自治体は「特に必要であると認める場合」に限り審議会などに諮問することができるのかが問題となり、同法129条の趣旨・目的が問題となる。

この点、同法129条の趣旨について、令和3年5月11日の参議院内閣委員会において政府参考人(冨安泰一郎・内閣官房内閣審議官)は「個別の個人情報の取扱いの判断については、国が策定するガイドラインも作られ、個人情報保護委員会の助言等もあるので、そういったものを参照することで解決される場合が多いと考えられる。したがって地方公共団体が個別の個人情報の取扱いの判断について審議会に諮問する必要性は減少するものと考えている」と述べている(https://kokkai.ndl.go.jp/txt/120414889X01720210511/66)。

つまり、個人情報保護法においては、個人情報保護委員会が地方自治体における個人情報の取扱いについて監督することになり、地方自治体の審議会などが審議する必要がある場合が減少するため同法129条を設けたものと解される。そのため、地方自治体の審議会等が幅広く審議を行うことによる弊害の防止が立法趣旨となっているわけではない。

したがって、同法129条はあくまで例示規定であり、特に必要と認める場合以外に審議会等に諮問を行うことが法律により禁止されるわけではないと解される。そのように考えても個人情報保護法の全体的な趣旨・目的である「個人情報の有用性に配慮」と「個人の権利利益の保護」および「個人の人格尊重の理念を尊重」が阻害されるわけではない(個人情報保護法1条、3条)。地方自治や団体自治(権力分立)により国民・住民の個人情報、プライバシー権および人格権など(憲法13条)を保護しようという憲法92条、94条の趣旨からもそのように解すべきである。

そのため、東京都情報公開・個人情報保護審議会への諮問については、「個人情報の適正な取扱いを確保するために専門的な知見に基づく意見を聴くことが特に必要であると認めるとき」に限定せず、従来どおりに東京都または東京都議会等は幅広く諮問を行うべきである。(斎藤裕「令和3年改正個人情報保護法と個人情報保護条例の効力」『判例時報』2510号97頁参照。)

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■参考文献
・斎藤裕「令和3年改正個人情報保護法と個人情報保護条例の効力」『判例時報』2510号97頁
・冨安泰一郎『一問一答令和3年改正個人情報保護法』61頁

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