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1.リーチサイト「映画の無料動画で夢心地」が著作権法違反で立件
新聞報道によると、違法な海賊版映画がアップロードされたサイトに利用者を導く「リーチサイト」の「映画の無料動画で夢心地」について2023年5月8日、京都府警は著作権法違反の疑いで運営者を逮捕したとのことです。同リーチサイトは洋画、邦画やアニメなど約2万1800作品へのリンクを貼る、日本国内で運営されているものとして最大級のものであったそうです。

・違法アップロード映画に誘導 リーチサイト運営の疑い、京都府警逮捕|朝日新聞

2.海賊版サイト「漫画村」の問題とリーチサイト
このブログでもたびたび取り上げてきたとおり、漫画を中心に違法コピーしたコンテンツを掲載し、無料で閲覧可能にしたいわゆる「海賊版サイト」の「漫画村」などが2017年頃より大きな社会問題となりました。この海賊版サイト対策として政府は「サイト・ブロッキング」や「アクセス警告方式」、「侵害コンテンツのダウンロード違法化」などの検討や立法を行ってきましたが、著作権法改正によるリーチサイトおよびリーチアプリの違法化もその一環です。

3.改正著作権法によるリーチサイト・リーチアプリ対策
2020年の著作権法改正により、侵害著作物等へのリンク情報を集約し、利用者を侵害著作物等に誘導するウェブサイトや、これと同じ機能を有するプログラム・アプリの悪質な提供行為等が著作権を侵害する行為となりました(著作権法113条2項、3項)。

すなわち、「提供行為が違法となるリーチサイト・リーチアプリとは「公衆を侵害著作物等に殊更に誘導するもの」または「主として公衆による侵害著作物等の利用のために用いられるもの」に限定され(法113条2項1号、2号)、かつリンク先コンテンツが侵害著作物等であることについて故意または過失のある場合に限られる(法113条2項本文)」とされています(高林龍『標準著作権法 第5版』152頁)。

改正著作権法の概要
(2020年改正著作権法の概要(部分) 文化庁「令和2年通常国会 著作権法改正について」より)

・令和2年通常国会 著作権法改正について|文化庁

今回の「映画の無料動画で夢心地」は約2万1800作品へのリンクを貼る非常に大規模なものであったものであるそうで、著作権法113条2項違反の疑いがあるとして立件されたものであると思われます。

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