情報法制研究所の高木浩光先生がTwitter(X)で「東京都教育ダッシュボードにおける教育データ取扱い方針について」を取り上げておられたので私も読んでみました。
(高木浩光先生のTwitterより)
東京都教育ダッシュボードにおける教育データ取扱い方針について|東京都
(東京都「東京都教育ダッシュボードにおける教育データ取扱い方針について」より)
(東京都「東京都教育ダッシュボードにおける教育データ取扱い方針について」より)
この取扱い方針によると、教育データの利用目的は①生徒の学習指導・進路指導・生活指導、②指導方法の検討・学校経営の検討等となっています。しかしこれは漠然としており、また幅広すぎて、個情法61条(17条)の「利用目的をできるだけ特定」に抵触のおそれがあるのではないでしょうか。
また、この東京都の取組は、学校の学習データに係る個人データをありったけ集めて利用しようとしている点で個情法61条(17条)の「必要最小限」の趣旨に反しているように思われます。
さらにこの東京都の取組は、生徒の検診データや体力データ等で生徒の学習指導・進路指導・生活指導をするようですが、これは最近、高木先生が主張されておられる「関係のないデータで判断しない」とのOECDガイドライン第2原則違反ではないでしょうか。
加えて生徒・保護者の本人同意につき、オプトインでなくオプトアウト方式なのは大丈夫なのかと気になります。それとデータの保存期間が「卒業後5年間」となっているのは、やや長すぎるのではないかと思われます。
そもそも教育データで生活指導や児童福祉みたいなことを判断するのは個人データの「関連性」がなくアウトなのでは…と心配になります。
このように、東京都の「東京都教育ダッシュボードにおける教育データ取扱い方針について」はツッコミどころ満載です。東京都は再検討が必要なのではないでしょうか。
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■参考文献
ニッポンの教育ログを考える——プライバシーフリーク・カフェ#16(後編)|Cafe JILIS
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