
1.はじめに
個人情報保護委員会は、2023年11月から次の個人情報保護法改正の準備を行っていますが、本年(2025年)1月、2月に公表した文書(「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しに係る検討」の今後の検討の進め方について(案)」、「個人情報保護法の制度的課題の再整理」、「個人情報保護法の制度的課題に対する考え方(案)について」)で、次回の個人情報保護法改正のおおまかな概要を明らかにしています。次の法改正は、改正法案が今年の通常国会または臨時国会に提出されるようであり、その2年後ごろ(2027年ごろ)に施行される可能性があります。
2.法改正の大まかな概要
個情委は、次回の法改正の内容を大きくつぎの3つ((1)~(3))に分類しています。
(1)個人データ等の取扱いにおける本人関与に係る規律の在り方
〇本人同意規律の見直し(AI開発等や医療データの利活用などにおける本人同意の不要化、契約の履行のために必要な場合における本人同意の不要化など)
〇漏えい等発生時の対応(本人通知等)の在り方
〇子どもの個人情報等の取扱い(16歳未満の子どもの個人情報・個人データの取得・第三者提供等について法定代理人の同意の必須化など)
(2)個人データ等の取扱いの態様の多様化等に伴うリスクに適切に対応した規律の在り方
〇委託先の事業者への規律の在り方
〇個人関連情報の規律の見直し
〇身体的特徴に係るデータ(顔特徴データ等)に関する規律の在り方
〇オプトアウト届出事業者に対する規律の在り方
(3)個人情報取扱事業者による規律遵守の実効性を確保するための規律の在り方
〇勧告・命令等の実効性確保
〇刑事罰の在り方
〇課徴金制度の導入の要否
〇団体訴訟制度(差止請求制度・被害回復制度)の導入の要否
〇漏えい等報告等の在り方

(個情委「個人情報保護法の制度的課題の再整理」より)
3.法改正の社会への影響
このように、令和7年の個人情報保護法は2017年改正、令和2年改正に並ぶ大きな改正になるように思われます。とくに、上の「(1)個人データ等の取扱いにおける本人関与に係る規律の在り方」のなかの「本人同意規律の見直し」および「子供の個人情報の取扱い」については、社会に与えるインパクトが大きいのではないかと思われます。(これまで日本の個情法が基本としてきた、本人同意による個人情報の取扱いの規律の大幅な修正という意味で。)事業者は法改正への対応のため、早めの準備が必要になると思われます。