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とある会社の社員が、法律などをできるだけわかりやすく書いたブログです

タグ:コロナ

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1.はじめに
コロナ対策のために、定時株主総会において株主に対して事前登録制や抽選制などの制限を設けることが違法でないとされた興味深い裁判例が出されていました(静岡地裁沼津支部決定令4.6.27(確定)、『資料版/商事法務』461号137頁)。

2.事案の概要
Y1会社(スルガ銀行株式会社)の代表取締役であるY2は、令和4年6月、株主ら(議決権のある株式を有する株主約2万9000名)に対して、定時株主総会(本件株主総会)を令和4年6月29日午前10時から静岡県沼津市の総合コンベンション施設の一室(本件会場)で開催することを通知した。その招集通知には、新型コロナの感染拡大防止の観点から、健康状態にかかわらず来場を希望する株主は事前登録をし、事前登録を希望する者が本件会場の座席数を超える場合には抽選を実施すること等が記載されていた。

これに対して、Y1会社の株主のXら(合計303名)は、株主には株主総会に出席し、議題や議案に関する説明を求め、もしくは意見を述べる機会または株主提案の趣旨説明をする機会を与えられる権利(総会参与権)があり、本件株主総会の事前登録制や抽選制はこの総会参与権を不当に奪うものであると主張した。

XらはY1に対して、主位的に①株主の総会参与権に基づく妨害排除請求権または会社法360条所定の違法行為差止請求権を争いがある権利関係として本件株主総会の開催禁止を求め、予備的に②Y1会社およびY2に対して上記妨害排除請求権を争いがある権利関係として、本件株主総会にXらが出席して株主権を行使することの妨害禁止を求める仮の地位を定める仮処分命令を申し立てたのが本件訴訟である。

3.裁判所の判断
裁判所はつぎのように判示してXらの訴えを退けた(確定)。

判旨
(1)Xらは、株主総会に出席し、議題や議案に関する説明を求めもしくは意見を述べる機会等が権利(総会参与権)として各株主に保障されているとして、総会参与権を確保するための妨害排除請求権として本件株主総会の差止請求権を有していると主張する。しかし、会場の規模や時間的制約等により出席株主数を無制限とすることはできず、総会参与権を有するとしても、希望すれば必ず株主総会に出席できる権利であると認めることはできない。各株主の総会参与権に基づく株主総会開催差止請求権を観念することは困難である。

(2)仮に、各株主の総会参与権に基づく差止請求権を観念する余地があるとしても、令和4年6月時点で、不特定多数の株主がY1会社の定時株主総会に全国から集まる際に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止という公益目的のために出席株主数を一定数に限定し、かつ、株主間の公平性を担保するために、事前登録の希望者が会場に設置する座席数を超える場合には事前登録者から抽選により出席者を選定するという事前登録制を採用することは、やむを得ないものであり、事前登録制の採用自体が合理性を欠くものであるとは認められない。

4.検討
株主は株主たる資格に基づいて株主総会に出席し、質問および意見を述べるような権利、すなわち総会参与権(総会参加権、広義の議決権)を有していると解されています(加美和照『新訂会社法 第10版』251頁)。

本判決は、このような総会参与権を認めつつも、新型コロナの感染拡大防止などの要請との比較衡量により、株主の総会参与権が制約を受けることがあり得るのであり、Xら株主の総会差止請求権は否定されることがあり得ると判示したものと解され、その結論は妥当であると思われます。

なお、令和2年4月に経産省と法務省が策定した「株主総会運営に係るQ&A」は、Q2で「会場に入場できる株主の人数を制限すること」も可能であるとし、Q3で「株主総会への出席について事前登録制を採用」することも可能であるとしており参考になります。

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■関連する記事
・新型コロナの緊急事態宣言をうけ、代表取締役が招集通知後に取締役会決議を経ずに株主総会の日時場所を変更したことが違法でないとされた裁判例-大阪地決令2.4.22

■参考文献
・前田庸『会社法入門 第12版』381頁
・加美和照『新訂会社法 第10版』251頁
・「スルガ銀行定時株主総会開催禁止等仮処分命令申立事件」『資料版/商事法務』461号137頁
・『銀行法務21』2022年10月号69頁
・経産省・法務省「株主総会運営に係るQ&A」(令和2年4月)



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seiji_kokkai_gijidou
1.はじめに
最近、岸田首相が新型コロナに罹患し、リモート会議などのシステムを利用して執務を行っています。また本年7月の参院選で当選した海外に居るNHK党のガーシー氏がリモート会議のシステムなどによる国会への出席の意向を示していることなど、Zoomなどのリモート会議システムによる国会は可能なのか?という問題に一部のメディアで関心が高まっているようなので、私も少し考えてみました。

2.海外の動向
海外の動向をみると、フランスの上院および下院の委員会がTixeoというシステムを利用してテレビ会議形式で委員会を開催したとのことです(投票は含まず)。またイギリスは2020年4月21日に庶民院が「ヴァーチャル議会」を全会一致で承認し、650人の議員のうちの50人のみを議会に入れ、さらに別の120人の議員がZoomによるテレビ会議を通じてリモートで議会に参加する取り組みが同年4月22日から行われているとのことです。

さらにアメリカの下院議会の議員規則委員会では、2020年5月15日に、本会議において代理人議員を通じた遠隔投票を認めるための決議が賛成多数で可決したとのことです。(小林祐紀「リモート国会」『コロナの憲法学』254頁。)

このようにG7に属する西側先進国では、フランス、イギリス、アメリカなどで先行する事例があるようですが、他の諸国は未だ検討中の段階のようです。これは、西側諸国の憲法に、議会に議員が物理的に「出席」することを前提とする条文の文言があるため、リモート議会に慎重であるためであろうと思われます。(例えばアメリカ合衆国憲法は、1条4節、修正20条に「招集」という文言があり、また1条5節には「欠席議員の出席の強制」という文言があります。)

3.日本における「リモート国会」に関する議論
日本の現行憲法も56条1項、2項などが「出席」という文言を用いており、国会議員が国会に物理的に出席することを前提に規定されています。

日本国憲法

第56条 両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
 両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

(なお地方議会についても、地方自治法113条、116条等が「出席」という文言を置いています。)

リモート国会との関係で憲法56条の「出席」の文言の意味をどう解するかについて、憲法学の重鎮の一人である早大の長谷部恭男教授は、「できない、というのが私の立場です。議員が議場にプレゼント(出席)していないとだめです。」「(モニター画面によるリモート国会は、)それはリプレゼント(代表)です。憲法は国会議員について「全国民の代表」と定めています(=憲法43条1項)。議員が議場に現に出席(プレゼント)することによってはじめて、主権者たる全国民をその場に改めて現前(リプレゼント)させることができる。「出席」なき「代表」はあり得ません。議場にいるのは単なる形式で、機能的に代替できるのならリモートで構わないというのは危ない議論です。」として「リモート国会」に消極的な立場をとっています。(「(考論 長谷部×杉田)コロナ対策、「罰則」と「自由」と」朝日新聞2020年7月26日朝刊2面。)

一方、東大の宍戸常寿教授(憲法)は、「(憲法56条の要件を満たし)成立した本会議にオンライン参加しても良いのではないか。『出席』は本会議場に集まることに限らない。(議場にいない議員も)審議に参加して表決し、その様子が公開される議会制の本質的要素を満たせば、出席と見て差し支えない」として「リモート国会」に積極的な立場をとっています。(東京新聞2020年5月10日。小林・前掲253頁。)

この点、憲法は直接民主制ではなく代表制民主制を原則としており(前文1項、43条1項)、議会に議員が出席して審議を行うことを原則としています。なぜ代表民主制が原則となっているかというと、日本をはじめとする現代国家は何千人、何億人の国民がいるため規模の面で直接民主制は現実的ではないこと、国民のすべてが審議に対応することができる時間的余裕がないことなどの理由があげられます。

また、第二次世界大戦のドイツや日本を振り返ると、議会での審議には意味はない、街頭における民衆の拍手・喝采こそがデモクラシーであるとドイツの国学者C・シュミットはナチズムを支持したのに対して、ケルゼンは議会における冷静な審議が重要であると主張していました。現在から振り返ると、ケルゼンの主張が正しかったことは明らかです。つまり、少数意見にも配慮した十分な議論(熟議)を行うためには、ある一定の数のメンバーを定め一定の時間、議会などで議論を行うことが優れており、そのために西側諸国の憲法は、議会に議員が「出席」して熟議を行う代表民主制を原則としているものと考えられます。(野中俊彦・中村睦男・高橋和之・高見勝利『憲法Ⅱ 第5版』9頁、杉田敦『現代政治理論 新版』149頁、163頁)

4.まとめ
このように考えると、情報システムの発達した現代社会においても議会に議員が物理的に「出席」して審議を行うことが原則であるべきである一方で、新型コロナの感染拡大など、現実に議会に議員が物理的に出席して審議を行うことが困難である事情があるような例外的な場合には、少数意見にも配慮した十分な議論・審議が行える限りにおいて、イギリスやアメリカなどのように、リモート議会・リモート国会を行うことも許容されるように思われます。

(なおNHK党のガーシー議員の事例は、新型コロナの感染拡大などで現実に国会に物理的に出席が困難な場合には該当しないので、依然として同議員は日本に戻り、国会に出席することが求められるように思われます。)

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■参考文献
・小林祐紀「リモート国会」『コロナの憲法学』254頁
・野中俊彦・中村睦男・高橋和之・高見勝利『憲法Ⅱ 第5版』9頁
・杉田敦『デモクラシーの論じ方』
・杉田敦・川崎修『現代政治理論 新版』149頁、163頁
・「(考論 長谷部×杉田)コロナ対策、「罰則」と「自由」と」朝日新聞2020年7月26日朝刊2面
・東京新聞2020年5月10日



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大阪市サイト
(大阪市サイトより)

1.大阪市がコロナ患者の管理システム「HER-SYS」への個人データ入力を契約書の締結などを経ずに委託し、さらに委託先企業が勝手に再委託の事実が発覚
新聞報道などによると、大阪市は市議会で2月17日、新型コロナウイルスの感染者情報の管理システム「HER-SYS(ハーシス)」に個人データなどをデータ入力する業務について、契約書を作成せずに民間企業の言い値で約1億円で委託していたことを明らかにし、陳謝したとのことです。
・コロナ業務委託、業者の言い値「1億円」で口頭契約|読売新聞

さらに大阪市議会議員の前田和彦氏(@kazuhikomaeda)の2月17日のTwitterの投稿によると、大阪市から個人データの入力の委託を受けた委託先企業は、なんと大阪市の承諾を取らずに当該入力業務を別の企業に再委託してしまったのだそうです。これには驚いてしまいました。

『さらに本件はもう1つ重大な問題がある。先日大阪市のワクチン配送が委託先から再委託されていた。この再委託は事前の大阪市の承諾がなく大変問題となった。本件ハーシス入力業務委託もさらに別事業者に再委託されている事実が判明。この再委託は大阪市の事前の承諾どころか未だ承諾が行われていない。(前田和彦・大阪市議のTwitterより)
前田市議3再委託
再委託の書面
https://twitter.com/kazuhikomaeda/status/1494308685656752131
(前田和彦・大阪市議のTwitterより)

2.個人情報保護法制から考える
(1)大阪市個人情報保護条例
今回の事件は大阪市健康局が「実施者」としてHER-SYS(ハーシス)へのコロナ感染者の個人データの入力業務を民間企業に委託しているので、大阪市個人情報保護条例が適用されることになります。

(2)要配慮個人情報
大阪市個人情報条例(以下「本条例」とする)は、「要配慮個人情報」とは「本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして市規則で定める記述等が含まれる個人情報をいう。」と定義しています。

つまり「病歴」は要配慮個人情報(いわゆるセンシティブ情報)なので、コロナ感染者の個人情報は要配慮個人情報に該当します。要配慮個人情報は機微な情報であるため、原則は収集禁止であり、「本人の同意のある場合」や「法令等に定めがある場合」などに限り例外的に収集が許される(本条例6条2項)とされているなど、とりわけ厳重な取扱いが要求される個人情報です。

(3)適正管理措置・委託
本条例13条2項は、「実施機関は、保有個人情報の保護に関する責任体制を明確にし、保有個人情報の漏えい、滅失、き損及び改ざんの防止その他の保有個人情報の適正な管理のために必要な措置を講じなければならない。」と、個人情報の適正管理措置(=安全管理措置)を講じることを大阪市の実施機関に求めています。

そして本条例14条は、大阪市の実施機関が個人情報に係る業務を委託する場合には、「委託に関する契約書個人情報の漏えい、滅失、き損及び改ざん等の防止に関する事項、契約に違反したときの契約解除及び損害賠償に関する事項等を明記するなど」の適正管理措置を講じなければならないと規定しています。また、本条例15条2項は、委託先(受託者)は実施機関の承認を受けずに受託した業務を第三者に再委託してはならないと規定しています。

大阪市個人情報保護条例

(事務処理の委託)
第14条 実施機関は、個人情報を取り扱う事務の全部又は一部の処理を委託しようとするときは、委託に関する契約書個人情報の漏えい、滅失、き損及び改ざん等の防止に関する事項、契約に違反したときの契約解除及び損害賠償に関する事項等を明記するなど、個人情報の適正な管理のために必要な措置を講じなければならない。

(受託者等の義務)
第15条 実施機関から個人情報を取り扱う事務の全部又は一部の処理を受託している者又は受託していた者(以下「受託者」という。)は、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) (略)
(2) 実施機関の承認を受けずに、受託した事務を第三者に委託すること
(後略)
・大阪市個人情報保護条例

つまり、本条例上、大阪市の各部門や機関などの実施機関は、保有する個人情報の滅失、棄損、漏洩などが発生しないように個人情報について適正管理措置を講じることが求められています(本条例13条2項)。

そして個人情報に係る業務を民間企業などに委託する場合には、個人情報の漏洩、滅失、棄損などの防止のために委託先が講じなければならない事項や、もし問題が発生した場合の契約解除や損害賠償に関する事項を委託契約書に規定して委託契約を締結などしなければならないところ(本条例14条)、大阪市健康局は実施機関として委託契約書を締結などせずに口約束で本委託契約を結んでおり、本条例14条に違反しています。

また、実施機関である大阪市健康局の承諾なしに再委託を実施したこの委託先企業本条例15条2項違反しています。

(4)委託基準
さらに、大阪府は個人情報に係る業務の委託に関する内部規則として「個人情報取扱事務委託基準」を制定しサイトで公表しています。

この大阪府の委託基準をみると、「3.委託にあたっての留意事項」(2)(3)は、「契約に先立ち、委託事務の内容や取り扱う個人情報の内容、記録媒体の実態等に応じ、委託先が個人情報の保護について遵守すべき事項を十分に検討し、別紙「個人情報取扱特記事項(例)」を参考に、当該委託事務における個人情報保護のための特記事項(以下「個人情報取扱特記事項」という。)を定めること。」「委託先は、個人情報取扱特記事項を遵守できるものを慎重に選定すること。」と規定しています。

委託にあたっての留意事項
大阪府「個人情報取扱事務委託基準」の「3.委託にあたっての留意事項」より。)

おそらく大阪市にも大阪府の「個人情報取扱事務委託基準」と同様の内部規則があるであろうことを考えると、事前に個人情報の安全管理措置を講じるための個人情報取扱特記事項を遵守できる委託先を慎重に選定せず、委託契約書や特記事項などすら作成せずに委託契約を締結している大阪市健康局は、委託基準などの内部規則にも違反しているものと思われます。

3.まとめ
現在、コロナの第6波が襲来しており、大阪市も新規陽性者が4293人、現在陽性者数が59104人(2月18日現在。大阪市サイトより。)と、大阪市が大変逼迫した業務の状況であることはよくわかります。 しかし、上でもみたようにコロナの感染者に関する個人情報はセンシティブな個人情報の要配慮個人情報であり、特に厳重な取扱いが必要であることをも考えると、大阪市健康局が委託契約書や個人情報取扱特記事項などを作成・締結せずに、委託先企業を決定し、相手方の言い値で約1億円の委託契約を締結したことは大阪市個人情報保護条例14条などに違反する違法な行政行為です。本件は事務監査請求や住民監査請求、住民訴訟などの対象になりうる事件なのではないでしょうか。

本事件については、大阪市健康局は、本件の委託について、他の業務を一旦止めてでも、あらかじめ十分に委託先企業を選定し、委託契約書や個人情報取扱特記事項などの書面を作成し、委託契約を締結すべきだったのではないでしょうか。

地方公務員法32条は法令遵守を地方公務員に求めており、一般の会社員などよりも自治体や公務員はより高いコンプライアンス意識やガバナンスが要求されるのですから。

大阪市はトラブルシューティングと再発防止に取り組むべきですし、野党やマスメディアはこの問題を追及するべきです。

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■参考文献
・岡村久道『個人情報保護法 第3版』512頁、516頁、517頁

■関連する記事
・コロナにより自宅療養・自主療養等した場合、生損保の医療保険の入院給付金は支払われないのか?(追記あり)
・茅ヶ崎市の小学校が生徒のGoogle Workspace For Educationのパスワードの提出を求めていることを情報セキュリティ・個人情報保護法制から考えた(追記あり)
・デジタル庁「教育データ利活用ロードマップ」は個人情報保護法・憲法的に大丈夫なのか?
・新型コロナの接触確認(感染追跡)アプリ(COCOA)の内閣府の仕様書を読んでみた
・令和2年改正の個人情報保護法ガイドラインQ&Aの「委託」の解説からTポイントのCCCの「他社データと組み合わせた個人情報の利用」を考えた-「委託の混ぜるな危険の問題」
・令和2年改正個人情報保護法ガイドラインのパブコメ結果を読んでみた(追記あり)-貸出履歴・閲覧履歴・プロファイリング・内閣府の意見
・コロナ下のテレワーク等におけるPCなどを利用した従業員のモニタリング・監視を考えた(追記あり)-個人情報・プライバシー・労働法・GDPR・プロファイリング















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byouki_oldman
■追記(2022年8月31日)
生命保険協会は、自宅療養・自主療養等について、入院給付金等の支払い対象を限定する方針を固めたとのことです。詳しくはこのブログ記事の下の追記をご参照ください。

■追記(2022年2月4日)
PCR検査などなしで「みなし陽性」として自主療養・自宅療養を行う制度を神奈川県などが開始しました。この制度と民間の保険会社の医療保険の入院給付金などの支払いに関してはこのブログ記事下部の「追記(2022年2月4日)」をご参照ください。

1.新型コロナにより自宅療養をした場合、生損保の医療保険の入院給付金は支払われないのか?
2022年1月24日夜、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、後藤厚生労働大臣は、自治体が判断すれば、感染者の濃厚接触者に発熱などの症状が出た場合、PCR検査等を患者が受けなくても、医師が感染したと診断できるようにする方針を明らかにしたとのことです。

・濃厚接触者 検査なしでも医師が感染と診断可能に 厚労相|NHKニュース

これに対しては、ネット上で、「自宅療養(自主療養)では生損保の医療保険の入院給付金が支払われなくなってしまうのではないか?支払いをめぐって保険会社ともめ事が発生するのでは?」との心配の声があがっています。

これ保険で絶対もめる
(Twitterより)

2.保険会社の対応
この点、例えば住友生命保険の医療保険の疾病入院給付金の約款(5年ごと利差配当付医療定期保険普通保険約款)の5条1項1号(支払理由)は、「イ 疾病の治療を目的としている入院であること」、「ハ 病院または診療所等における入院であること」などを支払いの要件としています。

そしてこの「病院または診療所等」について、同約款は「「病院または診療所等」とは、次のいずれかに該当する施設とします。(1)医療法に定める日本国内にある病院または患者を入院させるための施設を有する診療所、(2)柔道整復師法に定める日本国内にある施術所(患者を入院させるための施設と同等の施設を有する施術所に限ります。)(3)前(1)および(2)と同等の日本国外にある医療施設」と補足しています。

住友生命医療保険約款
(住友生命保険「5年ごと利差配当付医療定期保険普通保険約款」より)

しかし、例えば日本生命保険のプレスリリース「新型コロナウイルス感染症に関するお知らせ」(最終更新日:2021年10月1日)「保険金・給付金のお支払いについて」の「1.入院給付金のお支払いについて」は、つぎのように説明しています。
1.入院給付金のお支払いについて
新型コロナウイルス感染症は疾病に該当しますので、新型コロナウイルス感染症の治療を目的とされた入院は、(疾病)入院給付金のお支払い対象となります。
※ご契約内容によっては、入院給付金のお支払いに、所定の入院日数が必要となる場合があります。

なお、新型コロナウイルス感染症に罹患された場合で、医療機関の事情などにより、自宅またはその他病院などと同等とみなされる施設で治療を受けられる場合も、その治療期間に関する保健所等発行の証明書入院勧告書または就業制限・解除通知等)などをご提出いただくことで、入院給付金等のお支払いの対象としてお取扱いします。

この場合、お支払いの対象となる期間は原則、PCR検査等で陽性と判明した日から厚生労働省等の定める解除基準に該当した日(保健所等から通知された解除日)となります。
※上記は2021年7月1日時点での取扱いであり、今後法令の改正等により変更する可能性があります。

日本生命コロナ入院給付金支払いについて
(日本生命保険「新型コロナウイルス感染症に関するお知らせ」より)
・新型コロナウイルス感染症に関するお知らせ|日本生命保険

このように日本生命保険は、コロナに感染したが、病院などの事情により病院への入院でなく、自宅療養ホテルなどの宿泊所療養などをした場合であっても、お客様が「その治療期間に関する保健所等発行の証明書入院勧告書または就業制限・解除通知等)など」を提出した場合は、自宅療養などであっても入院給付金の支払い対象となるとしています。

同様に、第一生命保険、住友生命保険、明治安田生命保険、損保ジャパンなどもプレスリリースで、医師診断書等「会社所定の宿泊療養・自宅療養書」「保健所の証明書」などの提出があった場合には、コロナによる自宅療養でも入院給付金・医療保険金を支払い対象になるとしています。

・新型コロナウイルス感染症に関連したご案内等について(12月30日更新)|第一生命保険
・新型コロナウイルス感染症宿泊療養・自宅療養による入院給付金のご請求について|住友生命保険
・新型コロナウイルス感染症に関する当社の対応について|明治安田生命保険
・新型コロナウイルス感染症に関する商品・特別措置等のご案内|損保ジャパン

3.まとめ
そのため、コロナで入院治療が必要となったが、自治体や病院等の都合で自宅療養やホテル療養などとなった場合であっても、保健所の証明書医師の診断書などを提出した場合は、自宅療養などであっても入院給付金の支払い対象となると思われます。

※くわしくはご加入の保険会社にお問い合わせください。

■追記(2022年2月4日)
PCR検査などなしで「みなし陽性」として自主療養・自宅療養を行う制度を神奈川県などが開始しました。この制度と民間の保険会社の医療保険の入院給付金などの支払いに関して、神奈川県サイト「新型コロナ 自主療養について」のページの「5 よくある質問」QA7はつぎのように説明しています。
Q(7)自主療養届を療養に関する民間保険金請求や傷病手当に使えますか?
A いいえ。医療機関を受診し、発生届が提出された場合、神奈川県は療養終了後に別途「療養証明書」を発行しています。自主療養届は、制度開始時点においては、各種保険金や手当の請求に使う想定はしておりません。
神奈川県QA
(神奈川県サイトより)
・自主療養について|神奈川県

神奈川県サイトの説明によると、「みなし陽性」による自主療養の場合、患者は自治体の用意している「自主療養届出システム」に届出者情報などを入力すると、「自主療養届」が同システムからダウンロードできるようになり、これを学校勤務先などに提出して欠席や欠勤の届け出に利用できるとなっていますが、この「自主療養届」は民間の保険会社の医療保険などの入院給付金などの請求には「利用を想定していない」となっています。そして保険会社の医療保険などの入院給付金などの請求には、自治体が療養終了後に別途「療養証明書」を発行するので、この「療養証明書」を利用してほしいと説明しています。

神奈川県の自主療養届
(神奈川県の自主療養届。神奈川県サイトより)

たしかに神奈川県サイトに掲載された自主療養届のひな型をみると、自主療養の開始の日などの記載はありますが、終了の日などの記載はなく、入院給付金などの請求には使えないと思われます。

したがって、検査を受けずに自主療養・自宅療養を開始する「みなし陽性」の患者の方々は、「自主療養届」ではなく、療養終了後に自治体が発行する「療養証明書」を入院給付金などの請求に利用することになると思われます。

※くわしくはご加入の保険会社にお問い合わせください。

■追記(2022年8月31日)
新聞報道によると、各生命保険会社が加入する生命保険協会は、上でみたコロナによる自宅療養等について、入院給付金等の支払対象を「65歳以上の高齢者や入院患者、コロナの治療薬投与を受けた患者、妊婦」に限定する方針とのことです。

・医療保険、コロナ対象縮小 「みなし入院」扱い見直し 支払い7割減 生保協会方針|朝日新聞

※くわしくはご加入の保険会社にお問い合わせください。

■関連する記事
・保険会社・営業職員等に保険募集の際に公的保険制度の情報提供を求める金融庁の監督指針の一部改正を考えた
・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は生命保険の保険金支払いの対象となるか?
・かんぽ生命・日本郵便の不正な乗換契約・「乗換潜脱」を保険業法的に考える
・デジタル庁「教育データ利活用ロードマップ」は個人情報保護法・憲法的に大丈夫なのか?
・スーパーシティ構想・デジタル田園都市構想はマイナンバー法・個人情報保護法や憲法から大丈夫なのか?

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リヴァイアサン
1. コロナ禍で緊急事態宣言がでても国民の私権を制限できないのは憲法に緊急事態条項がないからか?
新型コロナの感染拡大が続くなか、最近、一部の論者から、「日本が欧米のようなロックダウンを実施できないのは憲法にその根拠となる緊急事態条項がないからである。だから日本も早急に憲法改正を行い、緊急事態条項を設置すべきだ」という意見が主張されているのをみかけます。例えば、菅内閣の元内閣官房参与で経済学者の高橋洋一・嘉悦大学教授は、5月のインタビューでつぎのようにコメントしています。

緊急事態宣言をして私権制限できないのは日本くらいです。」「憲法上の戒厳令や非常事態宣言などという規定がないから、私権制限ができないのです。」(「コロナ禍で痛感した「憲法改正の必要性」」2021年5月12日ニッポン放送)
・コロナ禍で痛感した「憲法改正の必要性」|ニッポン放送

しかし、結論を先取りしてしまうと、高橋教授などのこの主張は憲法や法律的に正しくありません。

2.憲法上の基本的人権の制約根拠としての「公共の福祉」
日本を含む西側自由主義諸国の18世紀以降の近代憲法は、国民の個人の尊重と基本的人権の確立を国家の目的としています(日本国憲法11条、97条)。

そのため国民の基本的人権は極めて重要なものです。とはいえ国民の基本的人権も無制限なものではありません。国民・人間は社会で生活するものであるので、ある国民の人権と他の国民の人権がぶつかりあうときに、それぞれの人権の調整が必要となります。この、ぶつかりあう人権を制限して調整するための根拠が「公共の福祉」です。

この点、国民の基本的人権が制約される根拠としての「公共の福祉」を、わが国の憲法は、基本的人権に関する条文に置いています。具体的には、憲法12条、13条、22条1項、29条2項に、人権の制約の根拠である「公共の福祉」の文言が置かれています。
日本国憲法
第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

第22条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
2 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

第29条 財産権は、これを侵してはならない。
2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
3 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

このように、わが国の憲法には、ある国民と別の国民との人権がぶつかりあい、矛盾・衝突することを調整するために、国民の人権(私権)を制限する根拠として「公共の福祉」が置かれています。さらに今日の憲法学の通説では、この「公共の福祉」は、憲法12条、13条、22条、29条だけでなく、すべての人権に内在していると考えられています(一元的内在制約説、最高裁41年10月26日判決など)。

そのため、コロナ対応のためにロックダウン(外出禁止令)などを実施して、国・自治体が飲食店やホテル、鉄道などの営業の自由(憲法22条1項、29条1項)を制限することや、同じく国・自治体が一般の国民の移動の自由(22条1項)などを制限するための「公共の福祉」の制度は、日本の現行憲法にすでに存在し、憲法上の問題はクリアされています。

なお、欧米などの世界の主要国も、コロナ対応に関して、自国の憲法に緊急事態条項があればそれを自動的に発動しているかというとそうではありません。憲法に緊急事態条項が存在し、かつコロナ対策に発動している国としては、イタリア、スイス、スペインなどがある一方で、憲法に緊急事態条項があるが、コロナ対策には発動せず法律で対応している国としては、アメリカ、フランス、ドイツ、韓国、中国、インドなどがあげられます。憲法に緊急事態条項の規定が存在せず、法律の規定でコロナ対応を行っている国はイギリス、カナダ、日本などがあげられています(国立国会図書館「COVID-19と緊急事態宣言・行動規制措置―各国の法制を中心に―」『調査と情報』1100号(2020年6月)より)。

したがって、「憲法に戒厳令や非常事態宣言などの規定がないから、私権制限ができない」、「憲法に緊急事態条項がないのは日本くらい」という高橋教授らの主張は正しくありません。

(なお、憲法25条2項は、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と規定し、「公衆衛生」を国の任務に明記し、それを受けて厚生労働省設置法3条1項、4条4号、19号などが「公衆衛生」「感染症の発生及びまん延の防止」を厚労省の任務に掲げています。そのため、公衆衛生やコロナ対策を国の任務に加える目的での憲法改正も不要です。)

3.災害対策基本法、国民保護法、警察法などの法律
そしてこのように憲法上は人権制約の問題はクリアされているのですから、あとは国会でコロナ対策のための法改正や立法などを迅速に行い、政府・自治体などはそれらの法律に基づいて行政を実施すればよいのです。

この点、例えば伊勢湾台風の災害を受けて1961年に制定された災害対策基本法は、災害時や災害のおそれがあるときは、市町村長は住民に対して「避難のための立退きを指示」することや、住民に「屋内での待避」を指示することができるとされています(法60条1項、3項)。また災害時や災害のおそれがあるときには、自治体の長は、消防機関や警察などに出動を要請し(法58条)、「犯罪の予防、交通の規制その他災害地における社会秩序の維持に関する事項」や、「緊急輸送の確保に関する事項」などを行わせることができると規定されています。

また、戦争やテロが発生した場合に備えて2004年に制定された国民保護法(武力攻撃国民保護法)や、警察法の第6章の「緊急事態の特別措置」の部分も、戦争やテロなどが発生した際に、自治体の長や警察などは、国民に避難の指示を出したり、治安維持のための活動を行うことができると規定しています(国民保護法11条1項、警察法71条1項など)。

もし「憲法に戒厳令や非常事態宣言などの規定がないから、私権制限ができない」という高橋教授らの主張が正しいのであれば、この災害時や戦争・テロなどの緊急事態の際に、国民のさまざまな人権を制限する規定が設けられている災害対策基本法、国民保護法、警察法などは憲法違反であるとして無効となってしまうのではないでしょうか?

4.感染症法、新型インフルエンザ特別措置法など
現在のコロナ対策のための緊急事態宣言などは、新型コロナに対応した新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)などに基づいて実施されています。具体的には、特措法32条1項に基づき国が緊急事態宣言を発出し、それを受けて都道府県の長は、同法24条9号に基づいて民間企業や公的機関、個人などに要請を行うことができると規定されています。

しかしこの特措法24条9項の条文はつぎのようになっており、非常におおざっぱです。

新型インフルエンザ等対策特別措置法
第24条
第9項 都道府県対策本部長は、当該都道府県の区域に係る新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、公私の団体又は個人に対し、その区域に係る新型インフルエンザ等対策の実施に関し必要な協力の要請をすることができる。
この条文には、自治体の長は、新型インフルエンザ等対策のために「公私の団体又は個人に対し」、「必要な協力の要請をすることができる」と非常にばくぜんとしたことしか規定されていません。

7月上旬には、西村大臣らが、酒類販売事業者や金融機関に対して、休業要請に応じない飲食店に酒を提供するなとか、金融機関から国・自治体の要請に従わない飲食店に対して融資をストップするなどして国・自治体の要請に従えと指導せよ、等の法治主義から乖離した無茶苦茶な要請の方針が出され、大きな社会的非難を受けて西村大臣らはこの方針をあっという間に撤回しました。

7月の西村大臣らのこの無茶苦茶な要請は、特措法などの根拠となる法律の規定が非常に漠然としていることに原因の一つがあります。つまり、法治主義や「法律による行政の原則」(憲法41条、65条など)は、主権者である国民の選挙で選ばれた国会議員により国会で法律が作成され、政府・国などの行政は法律にしたがって行政を行うことにより、行政を民主的に国民がコントロールし、もって国民の人権保障を行おうという原則です。しかし行政の行為の根拠となる法律があいまいでは、法治主義や「法律による行政の原則」は達成されません。

そのため、国会は特措法などを、コロナ対策のために国・自治体が何をすべきなのか等を個別具体的に明示するように法改正を行うべきです。そして国・自治体などは法治主義や法律による行政の原則の観点から、それらの法律を順守した行政を行うべきです。

5.まとめ
このように見てみると、日本の国・自治体のコロナ対応に必要なのは憲法改正を実施して緊急事態条項を新設することではなく、国会でコロナ対策を必要十分に実施できるように特措法や感染症法などの法律を改正したり新たな立法を行ったり、必要な予算を準備することです。

したがって、「日本の憲法には緊急事態条項などの規定がないから、私権制限ができない」「コロナ対策のために憲法改正が必要」という高橋教授らの主張は、憲法や法律的に正しくありません。

緊急事態条項とは、非常に強大な力を持つ国家権力の暴走を抑えるための憲法や法律などの制限を、災害などの緊急事態の場合に一時的にはずすものであり、国家権力の暴走を許してしまう危険性があります。憲法に緊急事態条項を新設するかどうかは、慎重に慎重な議論が必要です。

今回のコロナ禍においては、政府与党は、国民の生命・健康のためのコロナ対応ではなく、国策である東京オリンピック・パラリンピック開催を優先して暴走しました。

このことは、国民の人権保障のために国・自治体などはサービス機関として存在するという、18世紀以降の西側自由主義諸国の近代立憲主義憲法の基本理念が、日本の政府与党にはまったく根付いていないことをまざまざと示しています。

このような日本においては、憲法改正を行い緊急事態条項を設置した場合、それが政府与党によって「国家の暴走」のために利用されてしまう危険が非常に大きいのではないでしょうか。そのため、憲法改正により緊急事態条項を新設することは慎重に考えるべきと思われます。


(このブログ記事の冒頭の図は16世紀の思想家ホッブスの『リヴァイアサン』より。リヴァイアサンは旧約聖書に登場する海の怪物です。ホッブスは、国家が存在しない「自然状態」は、「万人の万人に対する闘争」の状態にあるとして、この闘争を終わらせるために市民各人の契約(社会契約)に基づく、統治のための強い権力を持つ国家(リヴァイアサン)が必要であるとしました。これに対して18世紀の思想家ルソーの『社会契約論』は、人間社会はほっておくと強者が弱者を支配する弱肉強食の社会になってしまうとし、人間各人が「一般意思」(=利己的な意思でなく、市民の共通の利益を求める意思)に基づき、市民が等しく権利・自由を享受できる民主主義の「共和国」を社会契約に基づき設立すべきであるとしました。そしてルソーは、市民はこの共和国が利己的な意思に陥り暴走しないようにチェックを怠ってはならないとしました。)

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■参考文献
・芦部信喜・高橋和之補訂『憲法 第7版』99頁
・野中俊彦・中村睦男・高橋和之・高見勝利『憲法Ⅰ 第5版』256頁
・樋口陽一・小林節『「憲法改正」の真実』101頁
・国立国会図書館「COVID-19と緊急事態宣言・行動規制措置―各国の法制を中心に―」『調査と情報』1100号(2020年6月)















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