
内閣府が「AI戦略会議 AI制度研究会 中間とりまとめ(案)」のパブコメを行っているので(2025年1月23日23時59分まで)、「国民の人権保障や各種リスク管理のため、欧州のようなAI法を制定すべきである」という趣旨の、つぎのような意見を書いて提出してみました。
1.1頁24行目「概要」「具体的な制度・施策の方向性」についてところで、本パブコメの入力フォーマットは、なぜか1つのパブコメ意見を一つづつしか入力できなく、しかも一つの意見は400文字以内という非常に入力しにくい不便な仕様だったのですが、どうにかならなかったのでしょうか・・・。
「具体的な制度・施策の方向性」に「AIの研究開発・実施が最もしやすい国を目指す」との目標が掲げられているが、この目標設定は間違っていると考える。日本は中国やロシア等のような全体主義国でなく国民主権の民主主義国(憲法1条)であるから、民主主義国家である以上まずは国民の人権保障や国民や社会に対するリスク管理を第一優先とすべきである。イノベーション推進や事業者の利益はその次の課題である。そうでなければ日本は欧州や米国などの西側世界のガラパゴスになってしまう。そのため、欧州のAI法のような人権保障のための法律を制定すべきである。
2.8頁6行目~10頁27行目「(2)法令の適用とソフトローの活用」について
まるで法令よりもソフトローのほうが優れているような記述だが、「法律による行政の原則」「法律の法規創造力」(憲法41条、65条、76条)の視点が欠けている。
まずは国民の人権保障や各種リスクの回避のためにEUのAI法のような法律を国会で作り、その上でそれを補足するためにソフトローを作るべきではないか。
また、そもそも「AIの研究開発が最もしやすい国を目指す」「イノベーション推進」等の目標設定が間違っていると考える。日本は中国やロシア等のような全体主義国でなく国民主権の民主主義国(憲法1条)であるから、民主主義国家である以上まずは国民の人権保障やリスク管理を第一優先とすべきである。イノベーション推進や事業者の利益はその次の課題である。
3.11頁9行目「リスクへの対応」について
「人の生命、身体、財産といった~」を「人格権」を入れて「人の生命、身体、財産および人格権といった~」とすべきである。4頁のAIに関する意識調査にあるように、多くの国民はAIによるプライバシー侵害や個人情報に関するリスクを感じているからである。
4.10頁4行目「(2)法令の適用とソフトローの活用」について
「一般的に、わが国の企業等は法令遵守の意識が高い」とあるが事実誤認である。2021年のLINEの韓国・中国への個人情報漏洩事件などに見られるように、AIの研究開発等を行う日本のIT業界は法令遵守意識が非常に低い。国民の人権保障やリスク管理のために、内閣府など政府はIT企業等に対して性善説ではなく性悪説で臨むべきである。
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