smartphone
Androidのスマホの設定をみたら、「緊急位置情報サービス(ELS)」とかいう物々しい項目がいつの間にか新設(?)されていました。

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リンクされている、グーグルのヘルプ画面を読むと、"緊急事態"があった場合にグーグルからの信号を受けて、スマホ(デバイス)の位置情報が"緊急通報機関"に伝達される仕組みのようです。しかも、かりに我々ユーザーがELSをオフにしていても、緊急通報機関の指示があった場合、グーグルはELSを強制的にオンにして位置情報を緊急通報機関に送信することがあるとされています。

ELS2

スマホの位置情報をユーザー本人の意思を無視してグーグルが取得し、第三者提供するからには、具体的な法律の根拠か、あるいは裁判所の令状が必要なのでは、と思ってしまうのですが・・・。

グーグルのヘルプみても、緊急事態や緊急通報機関とは具体的に何かなどが明示されてないのはどうなのでしょう。

素人考えとしては、この緊急位置情報サービス(ELS)は、まずは新型コロナ対応のための接触確認アプリ(COCOA)対応なのでしょうか?

しかし、政府・与党の説明では、同アプリは「インストールするのはユーザー本人の自由・任意に委ねられる。また、濃厚接触が発覚した場合に処理番号を入力し保健所に通報するのもユーザー本人の自由意思。」「とにかく個人情報を勝手に取らないプライバシーに配慮したアプリ。」であるのが最大のセールスポイントというか、同アプリが合法である根拠だったはずではないでしょうか?(いうまでもなく、接触確認アプリを明確に合法たらしめている個別具体的な立法などはいまだ存在しません。)

また、「緊急事態」というふわっとしたバスケット条項的な、大雑把な用語で、位置情報を強制的に国・自治体・企業などが取得できるような仕組みになっているのも大いに気になります。

最初は「コロナ対応のため」「本人が災害にあって命を助けるため」と言っていたのに、気が付いたら警察当局が何となく見込み捜査やこっそり内偵をするためであるとか、はては某万引き防止なんとか協会などの民間団体が何となく怪しいと思った国民を監視するため…等々と安易に拡大的な運用がグーグルにより行われて、なし崩し的に法令上の根拠なしに国や企業などによる国民・市民の電子的なモニタリングや監視化が進行しかねません。

それでは法令上の根拠なく、歯止めなく国民の個人情報やプライバシー権(憲法13条、個人情報保護法1条、3条)が侵害され、国民個人が人間として私的にも社会的にもまともに生きてゆけなくなってしまいます。

また、裁判所の令状や法令上の根拠なしに、国などによって国民が電子的に捜索や検証などを強制的に行われることは、令状主義や強制処分法定主義(憲法33条、刑事訴訟法197条)などに抵触する問題に思われ、憲法や刑事法的にも由々しき事態であると思われます。

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