アメリカ連邦議会占拠1
(ロイターより)

2020年1月7日の各メディアの報道によると、1月6日にアメリカの連邦議会で昨年11月の大統領選の結果を認証する議事が行われていたところ、議事堂周辺に集まったトランプ大統領支持者の一部が暴徒化し、警備を破り建物内に侵入し、一時連邦議会は暴徒に占拠されたとのことです。これには驚いてしまいました。これは控えめに言っても、大統領選に敗れたトランプ氏とその支持者達による、クーデターか反乱の未遂のように思われます。

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(ロイターより)

これに先立ち、トランプ大統領は、「我々は負けを認めない。連邦議会に集まろう。」などと支持者に呼び掛けていたとのことです。

・トランプ支持者が議会占拠、銃撃で1人死亡 バイデン氏「反乱」と非難|ロイター

CNNによると、バージニア州は州兵を首都ワシントンに展開。この日の夜には、連邦議会の暴徒は排除されたようです。

その後、NHKなどの報道によると、ペンス副大統領らトランプ政権の閣僚達は、アメリカ合衆国憲法修正25条に基づく「大統領の職務遂行の不能」の手続きによりトランプ氏を罷免する手続きの検討に入ったとのことです。

・米連邦議会の混乱 オバマ前大統領がトランプ大統領を強く非難|NHK

アメリカ合衆国憲法修正25条
第4 項1号
副大統領、および行政各部の長または連邦議会が法律で定める他の機関の長のいずれか の過半数が、上院の臨時議長および下院議長に対し、大統領がその職務上の権限および義務を遂行できな い旨を書面で通告したときは、副大統領は、直ちに臨時大統領として、大統領職の権限および義務を遂行 するものとする。

同25条4項1号は、政権の閣僚の過半数が大統領が職務遂行の不能の状態にあると判断したときは、副大統領が連邦議会の上院および下院の議長に対して書面で通告することにより、大統領を罷免し、副大統領が大統領の職務を代行することができると規定しています。

具体的な事実はまだ明らかになっていませんが、もし本当にトランプ氏が大統領としての権力を保持し続けようとの目的で支持者達を扇動し、連邦議会に突入させ占拠したのだとしたら、これはクーデターや、反乱としかいいようがありません。「大統領が職務遂行の不能」の状態にあったと言わざるを得ないのではないでしょうか。

なお、同じくアメリカ合衆国憲法2章(大統領の権限)の4条は、大統領などの弾劾の手続きを定めており、大統領などは、反逆罪などで弾劾裁判で有罪判決を受けた場合は罷免されると規定しています。(弾劾裁判については第3条第3節。)

アメリカ合衆国憲法第2節
第4 条[弾劾]
大統領、副大統領および合衆国のすべての文官は、反逆罪、収賄罪その他の重大な罪または軽罪につき 弾劾の訴追を受け、有罪の判決を受けたときは、その職を解かれる。

合衆国憲法修正25条、あるいは合衆国憲法第2節第4条のいずれの手続きをとるにせよ、このままいくと、トランプ氏は大統領の職位を罷免されるということになりそうです。

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